イギリスのEU離脱が6月まで延期された。メイ首相が掲げるEUとの合意案が否決されたためだ。
さて、なぜイギリスのEU離脱が世界に及ぼす影響が大と言われているのかを検証してみよう。
ブレグジットとは何?
ブレグジットとは造語で、イギリスのブリテンとエグジットを掛け合わせた用語。簡単に言うとEU離脱を意味します。
EUを離脱すると、イギリスのGDPは10%減ると計算されています。この景気後退が投資、雇用、消費の部分で影響を及ぼします。
また、EUからイギリスが抜けることによって、EU全体の崩壊が始まるだろうと予測されます。そもそも単一通貨ユーロは、EU圏内の国別経済格差を助長してきました。つまり、為替変動がないため、経済力のある国が独り勝ちという構図を作っています。
また、通貨発行権がEU各国にないため、金融政策が単独で打てない。もはや国という概念ではなく、連合国共同体といった体です。
そこで、ブレグジットを見てから、力の弱い、イタリア、スペイン、ポルトガルなどがEU離脱を言い出す可能性が高いのです。
これに移民問題もEUに重くのしかかってきます。なぜなら、労働賃金の安い移民が、仕事を奪い、その国の失業率を増加させています。
このことに伴い、EU内の国民は不満を募らせているというのが現状です。
イギリスにとってブレグジットは吉か凶か?
なかなかブレグジットが施行しないのは、イギリス側の北アイルランドの問題があるからです。
北アイルランド問題は、イギリスにとって歴史的にみても頭痛の種で、アイルランド統一問題とも重なってくる火種です。
EU側とすれば、 北アイルランドに「特別地域」にしてEU市場と関税同盟に留めることを提案しているが、イギリス側からするとこれを認めてしまうと北アイルランドとアイルランドが統合し独立してしまう可能性がある。また、それを見てスコットランドも独立してしまう可能性があるとして、認められない。
そこで、イギリス側とすればEU側と妥協案を話しあっているのだが、その妥協案がイギリス議会では否認されて、なかなか前に進まないといった状況。
いずれにしても、ブレグジットは近々行われる。ソフトランディングを目指したいところだが、ハードランディングになりそうな気配だ。
さて、本題のブレグジットはイギリスにとって吉か凶か?であるが、これは見方による。
つまり、ブレグジット後、各々の国とFTAを組んだりすれば、関税の問題は解決できる。また日本のTPPに参加すれば、さらに広いエリアでの自由貿易が可能となる。
ブレグジット後、今までのEUの規制から自由になれるため、金融が自由に取引できるようになる。
ブレグジットにより最初は混乱をもたらすかもしれないが、今までのEUとのしがらみが切れるため、自由に商売ができる環境になるといったいい面がある。
それに反して、EU圏内の経済不振+経済政策の失策により、ますますEU発の世界経済危機が広がると予想される。
このことから、イギリスはこの危機をブレグジットにより避けられるという恩恵を被ることができるのであるから、イギリスとしてはブレグジットは正解なのではないかと私は考る。
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